フルチューニング
クラブの診断・調整を強くお奨めします。
「うまく打てないのはクラブが悪い!あなたは悪くない!」ということは実際には多いです。
ロフト、ライ、バランス、長さ、重さ、硬度の各番手の流れは合っていますか?
特にライ角に関しては、無頓着な人が多いです。短いアイアンほど影響は大きくなります。
ウエッジなんか、無調整で使用しているなんて絶対にあっちゃいけないことです。
組み上がり品で市販されているアイアンセットは当然のことながら無傷です。
つまりヘッド工場から納品されたままのヘッドを簡単な検査を経て組み立てているということです。
ヘッドは人の手によって研磨仕上げされる手工業製品ですから鍛造品でも鋳造品でも
ロフト角・ライ角は基準値に対して±1度以内の誤差は必ずあるものなんです。
海外生産の軟鉄鍛造品、ステンレス鋳造品は誤差が大きいのが実情です。
ロフト角のピッチのバラツキは番手ごとの距離差の誤差を生みますが、もっと重要なこと、ライ角ピッチの誤差です。
1番手間のライ角ピッチは0.5度〜1度が標準ですが、この0.5〜1度が狂うとその番手では明らかに球が曲がるということがプロ、上級者によるフィールドテストで実証されています。
大量生産される市販品を組み立てているのはほとんどが素人です。
シャフトの装着角度には誤差があります。シャフトのステップ位置も揃わずバラバラなんてこともあり、それは番手間のシャフト硬度やキックポイントのバラツキを意味します。
ある程度の範囲に決められた長さとバランスの仕上がりスペックに合わせやすいようヘッド重量はあらかじめ軽い目で制作してあります。
ネック内への調整物でバランス計の数値だけを合わせる。
それも許容誤差の大きな範囲であわせるので各スペックの数値もバラバラです。
当然スイートスポットの位置も変化します。
これでは各番手が各スペックに誤差の多いアイアンセットが完成してしまいます。
「クラブ重心線」はスイートスポットを指していますか?
相当量の重量調整物がネック内に入っています。
これがなぜ悪いのか。昔からどこのメーカーもやっていることではないか。と仰る専門家もおられます。今もやっています。さらにやはり使用するのが人間ですので、このようなことに気が付かないままに使用しているんです。悲しい結果です。
しかし実は僅か数g程度の調整物で「クラブの重心線」が「ヘッドのスイートスポット」と一致しなくなるのです。
グリップエンドをつまんでヘッドを下に垂らしたとき、グリップエンドの中心を通る垂直線が「クラブの重心線」なのです。どのメーカーのヘッドも設計はとても良い物ですから、設計されたとおりの状態でシャフト・グリップに応じて長さ・バランスを自然に出るように作ってやったクラブはこの重心線がフェイスのスイートスポット上を通ります。
ところがネック内に数g程度の調整物で「クラブとしてのスイートスポット」がヒール寄りの上側にずれます。歴史的にこのようなクラブがほとんどなわけです。
クラブを振るとき、その形状的外観からあたかも「シャフトを振っている」ように見えますが、実は人間は無意識にこの「重心線を振っている」のです。これは比較的初心者のレベルでもそうしています。つまりフェイスのネックギリギリに外したところで打ってしまうクラブになってしまっています。しかもフェイスのスイートスポットとクラブのスイートスポットが一致しませんから永遠に真のナイスショットは出ないクラブになってしまっているのです。
全番手シャフトが同じシナリ方をしますか?
どのシャフトもルール適合ですから360度どの向きに挿しても同じしなりとたわみ性質を持っている、とされています。シャフトは工業製品の誤差として1枚のシートを丸めて管状にする製法上、また肉厚の誤差から向きによってしなり硬さが少し異なります。
硬いしなり向きと軟らかいしなり向きが出来てしまうのです。それが360度ともなると、様々なしなりが発生します。
これが「スパイン」と呼ばれるものですがこれを全番手が同一規則性のもとにしなる様揃えてやらないとインパクトのタイミングが一定しないため球筋のバラツキの原因になります。もちろん、あくまでもルール及び裁定に違反しない事が大前提です。
シャフトの装着向きにこういう考え方をしているメーカー、ショップはほとんど無いのが現状です。
装着されているシャフトは本当に真っ直ぐですか?
シャフトも工業製品ですから完全に真っ直ぐとは行きません。専門筋には知られていることですが実はアメリカの世界最大手メーカーのシャフトは結構曲がっているものが多いのが実情です。メーカーの検品基準ではOKです。大量生産品はこんな検品までして不良シャフトをハネていたんでは間に合わないので納品されたままを使っています。当工房のシャフト曲がりチェック基準はメーカー基準の3倍の厳しさです。計測機を使用して通常から検査しています。
シャフトのステップの位置が揃っていることも全番手が均整の取れたしなりをする重要なポイントです。ステップのつけ方でしなり硬度が変化します。
お手持ちのアイアンセットヒール位置を揃えて並べたとき、ステップは一直線に斜めに揃っていますか?
グリップの太さは揃っていますか。あなたにとって適切な太さですか?
どんなに素晴らしいクラブでもグリップがフィットしなければその性能を活かしきれず、また、あなたの実力も十分に発揮できません。太さは人それぞれ、グリップの握る形によっても変化させなければなりません。
0.60インチのシャフト手元太さに対して下巻きを何重に巻くか、が基準になりますが、シャフトの手元太さは0.58インチから0.62インチの間でモデルにより異なります。
でもそれに対応して下巻きが変えられている市販品販売を見たことはありません。そこまでは対応しきれないのが現実です。
また、センターを示す印は合っていても良く見ると真ん中部分は歪んでいるものも多いです。つまり、一見真っ直ぐでもバックラインが歪んでいるので手に正確にフィットしないんです。伸ばせば伸びるグリップの装着長さがバラバラ。
つまり太さもバラバラに装着されているということです。
試打で良かったドライバー、買ってみたらうまく行かないのは何故?
同じヘッド+同じシャフトでもシャフトのしなり性質がまったく違ってしまっているから。が答えといえます。上で述べたようにシャフトにはスパインと呼ばれるしなり硬度の偏りがあり、これを検出し管理して挿さなければ1本々々しなり性質の違うクラブになってしまいます。
市販品のシャフトは全てシャフトのロゴプリントの向きを綺麗に合わせて装着されています。ということはスパインの向きはバラバラ、しなり性質はすべて違う、ということです。
スパイんを考えてロゴ向きを設定しているシャフトメーカーはごくわずかです。
「左右均等にしなるようになる」範囲できちんと管理してやれば貴方にベストフィットのドライバーが出来ます。
ショートパットを外すのはパッティング技術が下手だから?
パターのフィッティングで最も重要な点は2つ。
1.目の位置とヘッドの位置が自然に合致する長さかどうか。
2.ライ角が、ヘッドが完全に水平になる角度かどうか。
知られていないことですが、パターにもロフトがありインパクトロフトというものもあります。
重さやインパクトのフィーリング、形状などは使用者の感性ですが、クラブとしてのフィッティングはこの2点が生命線です。
ショートパットに狂いが出てはスコアメイクになりません。
クラブが調子良く打てない理由がざっと見渡してもこれだけあります。
どのメーカーもヘッドの設計は素晴らしいんです。これは断言できます。
組み立て方が悪すぎです。
店頭に並ぶ新品クラブは実は無調整のままです。お気に入りのクラブを「使える武器」に仕立て直します!
調整作業の内容と費用、日数について
1.最初に全計測項目を計測します。
・ スイングバランスは0.1ポイント単位で計測します。
・ ロフト角、ライ角、ソール角はシャフト中心軸基準に0.1度単位の精度で計測し、この精度で調整も行います。
・ その他、振動数など全8項目を事前計測します。
* 多くのショップや工房で使用されている「ネックを曲げながらシャフト側面基準で角度を測る器械」ではシャフトの
テーパー角の分誤差が出るので「正確なロフト、ライのピッチ」は理論的に出せません。
私共では世界で唯一理論的に「シャフト中心軸基準測定」が出来る測定器を使用しています。
2.分解してネック内部の異物を全て撤去します。
・ 当工房チューンナップの柱の一つです。
・ 基本的にシャフトとグリップは再利用ですのでスイングバランスが小さくなる分はヘッドに鉛板で調整します。
・ ウッドの場合は内部にグルーを適切な位置に注入することでバランスと同時にヘッド性能も調整できます。
・ これだとクラブに何ら悪影響を与えません。
3.シャフトの曲がりチェック、ステップ位置チェックをします。
・ 曲がったシャフトではロフト・ライもスパインもありません。
・ 当工房基準で使用に耐えないものは交換(シャフト代実費)になりますこと予めご了承ください。
・ ステップ位置も綺麗に揃えますのでシナリ硬度も均一性が出ます。
4.シャフトスパインを検出します。
・ これにより全番手が同じ規則性を持ってしなる様装着向きを決定します。
・ ドライバーはルール適合の範囲でのスパイン管理によってベストフィットのクラブに致します。
・ これも当工房チューンナップの柱です。
5.グリップのご希望にもきめ細かく対応します。
・ 太さなどご希望を伺い、きめ細かい対応をさせていただきます。
6.ロフト・ライを調整します。
・ 基本的にロフト角は設計値どおりに調整します。ソール角に影響するので変える事はあまりお勧めしません。
・ ライ角は「現状±2度」の範囲で貴方に適切な角度に調整します。
ヘッドの特性によって限界地が違いますのでご了承ください。メッキにしわが発生することはありますが、基本的に性能重視ですので美観重視の方は事前にお知らせください。
7. 以上のような工程で所用日数は5〜7日です。